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2011年6月 5日 (日)

一枚の書類を見ながら

 先日、職場で一枚の書類を見ていた。二人の無名の日本人だった。会ったことも、話したこともない見知らぬ二人の男女の名だった。

 戦前に、男性は大分で女性は台湾で生まれた。結婚をして愛媛に住んだ。それから何年か後に、二人は大阪で住んだ。それ以降ずっと大阪だった。二人は離婚した。最近、その女性が70歳で亡くなった。戸籍の流れだった。

 漢字とひらがなの羅列でしかない無味乾燥な書類である。ただ、その書類を見ながら、二人が生まれ、育ち、暮らした日々を思い描いた。二人はどこで出合ったのだろうか?なぜふるさとを離れて愛媛の地だったのだろうか? その女性は亡くなる前に、ふるさと台湾の地が脳裏をよぎることがあったのだろうか?と。

 二人には、喜び、怒り、哀しみ、楽しみのささやかであったとしても、二人だけの物語がきっとあったはずだ。でも僕には、漢字で記された地名の推移しかわからない。本当の二人の物語を知ることもない。人はそれぞれに、日々を生きているうちに、自然と誰もが小さな物語を創るのだ。

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