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2008年2月14日 (木)

大成通のこどもたち(3)

Photo (前列右から二人目が私、その左横が妹)

春から秋にかけての夕刻の路地には幾つかの縁台が並んだ。各家の夕飯のおかずが縁台に置かれた。僕たちはそのおかずをつまみながら、兵隊将棋やかるた、トランプで遊んでいた。子どもたちと別の縁台で、おじさん連中はお酒を飲んだり、おばさん連中は世間話に花を咲かせていた。

おじさん連中は特に将棋に夢中になっていた。ある日、向かい合って将棋を指している二人のおじさんたちがいた。突然にひとりが将棋版をひっくり返し、石畳の上に将棋の駒が散らばった。怒鳴るような大きな声が聞こえた。「負けたのに卑怯や!」 「おまえこそ汚い手を指しやがって!」今にも殴りかからんばかりの剣幕であった。子どもたちは緊急避難した。

おとな同士のけんか、夫婦げんか、親子げんか、兄弟げんかなどは日常茶飯事だった。瞬間湯沸し器みたいなものだ。将棋でけんかになったおじさんたちも翌週にはまた同じ縁台で仲良く将棋を指していた。修復力が驚くほど早かった。路地はさまざまな人間模様の展示場だった.

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