Books

無料ブログはココログ

2007年12月31日 (月)

Books 「江戸の教育力」

著者:高橋 敏 発行:ちくま新書(2007.12.) 定価:680円+税 P.206

「一人前に育てる驚異のネットワ-ク」「江戸の庶民教育・地方文化を見直す」

【コンテンツ】 「教育の時代」としての江戸時代/江戸時代の文字文化/江戸時代の非文字文化/江戸の教育ネットワ-ク/庶民皆学の行方/

 今で言う「学校」という存在がない江戸時代の教育と言えば「寺小屋」である。「読み書き算用」が基本にあり、それに加えて子どもたちが社会に出ても困らないような「一人前」になる「しつけ・礼儀」を身につけさせていた。地域において教育を担ったのは名望家の文人だった。寺小屋は町・村に関係なく全国に存在した。その時代の教育レベルを支えたネットワ-クだった。それと不可分の関係で、地域の中での「子ども組」「若者組」が子どもたちを「一人前」にするシステムとして存在した。

 寺小屋師匠・柳澤文渓のことを初めて知った。彼は徳川幕府幕臣だったが聴覚を失い流浪の旅の果てに、ある村に留まり子どもたちに手習いを教えた。筆子(生徒)800名、門人(弟子)100名を有したという。聴覚を失いながらも教育に身を投じた師を慕い、門人たちが建立した「柳澤文渓先生の墓」が今もある。その碑の末文に「其の便概を叙し諸石に表して以て悠久に伝えんと云う」と書き記されてる。柳澤文渓のような寺小屋師匠の墓・碑が全国に無数にあると知った。

 「江戸の教育力の源泉は地域の教育力にあった」と著者は言う。近代以降の教育は、「学校」という存在への囲い込みによりすべてを成し遂げようとしたが、それに連れて地域の教育力は転げ落ちるように衰退した。高度成長期以降は消失したと言っても過言ではない。「学力」偏重の中で、子どもたちを「一人前にする」という教育の根幹が忘れ去られたのが現実である。

2007年12月 7日 (金)

Books 「モスラの精神史」

著者:小野俊太郎/発行:講談社現代新書(2007.05)/定価:760円+税/P.283

「なぜ蛾の姿なのか? あの歌の意味は何か? ゴジラとどこが違うのか? 多くの謎が、いま解き明かされる!」

【コンテンツ】 三人の原作者たち/モスラはなぜ蛾なのか/主人公はいったい誰か/インファント島と南方幻想/「モスラ」とインドネシア/国会議事堂か東京タワ-か/平和主義と大阪万博/ほか

 小学生だった頃に、祖母に映画館の無料招待券をもらい、近くの映画館で上映されていた「怪獣映画」をよく見た。「モスラ」で印象的だったのは、モスラの歌とザ・ピ-ナッツが演じていた南の島の小妖精だった。この本を読んで、「モスラ」の原作者が、中村真一郎、堀田善衛、福永武彦という3人の著名な純文学者であったことを初めて知った。

2007年11月24日 (土)

Books「父が子へ伝える名ロック100」

著者:立川直樹/発行:祥伝社新書(2007.11)/定価:760円+税/P.216

From Father To Sons」「『定義なき崇高な思想』として君臨した時代の甘美な秘密が解き明かされる」(森雪之承)「父親はなぜか息子とキャッチボ-ルをしたがるし、肩をぶつけて酒も飲みたがる。そして、いつもそこには、親父の不器用な鼻歌が聞こえていた。それでいい・・・それでいい」(CHAGE

【コンテンツ】
LOVE:サ-フィンUSA、スタンド・バイ・ミ-、いとしのレイラ、ほか/JOURNY:冬の散歩道、セイリング、ミ-・アンド・ボギ-・マギ-、ほか/NOSTALGIA:ロック・アラウンド・ザ・ロック、イエスタディ、青い影、朝日のあたる家、ホテルカリフォルニア、ほか/
DREAM:ライク・ア・ロ-リング・スト-ン、アイシャル・ビ-・リリ-スト、ミスタ-タンブリンマン、ホワイトル-ム、ほか/
HARDBOILED:雨を見たかい、ワイルドで行こう!、サティスファクション、時代は変わる、ほか/

 1960年代終わりから1970年代初めにかけては、ロックの黄金時代だった。その時代、古臭い言葉を使えば、僕の「青春時代」とシンクロナイズする。18歳の時、「受験勉強なんてくそ食らえ!」と思いながら「破壊だ!」と心の中で叫んでいた。友だちから借りたレコ-ドを路地裏の薄暗い小さな部屋で、近所迷惑だけを避けヘッドホンをかけて聞きまくった。ボブ・ディラン、レッドツェペリン、デイ-プパ-プル、ピンク・フロイド、EL&P、CCR、等々。一番大好きだったのはクリ-ムだった。エリック・クラプトンのリ-ドギタ-とジャック・ブル-スのベ-スギタ-の戦闘的で自由なアドリブに魅了された。ライブ盤での「スプ-ンフル」「クロスロ-ド」の曲に聞きほれた。あれから35年あまりが経った。小市民的な生活を過ごしている54歳の今、本を読み終えた後、ミュ-ジックショップに駆け込み「クリ-ム」のCDを買いたい気分になった。

2007年11月23日 (金)

Books「『言語技術』が日本のサッカ-を変える」

著者:田嶋幸三/発行:光文社新書(2007.11)/定価:720円+税/P.237

「瞬時に判断し、相手に伝える!『ピッチの外』の革命的トレ-ニング

「『そのプレ-の意図は?』と訊かれたとき、監督の目を見て答えを探ろうとする日本人。一方、世界の国々では子どもでさえ自分の考えを明確に表明し、クリエイティブなプレ-をしている。日本サッカ-に足りないのは自己決定力であり、その基盤となる論理力と言語力なのだ。」と著者は書く。サッカ-指導者、教育者必読の本である。

【コンテンツ】「言語技術」に挑戦するJFAアカデミ-福島/実践!ことばえを鍛えるトレ-ニング/論理でパスするドイツ・サッカ-/世界との差は、判断力/監督のことばが選手を伸ばす/論理プラス非論理/

 素直に言えば、以前から「言語力」と「野外活動」とが「サッカ-」には大切であると考えていた。特に「地域スポーツ活動」の中で。日本サッカ-協会の中核に位置する著者が、一冊の書籍として執筆されたことに敬意を抱く。私などは思ってはいても書籍として書く能力も世に出す能力もない。

 驚いたことに、第6章・「論理プラス非論理」の章で、会津藩の「藩校・日新館」と「什の掟」のことについて、「大切なもの」として論及されていた。「サッカ-」にも通じるが「教育」という視点の中で、私は6年ほど前に、福島県会津若松にある「日新館」を訪れたことがあった。素直にその場所に立ち、共感する面がただあった。著作の中での著者の考え方と符合する点が多ゝあった。意義ある一冊である。

※「藩校日新館」の訪れたことについては、後日掲載したいと思っています。

2007年11月18日 (日)

Books「誰も語らなかった中原中也」

著者:福島泰樹/発行:PHP新書/定価:800円+税/P.317

平成173月、詩人・中原中也の葉書と肖像写真が宮崎県東臼杵郡東郷村の友人・高森文夫宅で新たに発見された。そのことを契機として歌人である著者が、詩人・中原中也をこの本において求道者として浮き彫りにした。「人はいかに生き、いかに死んでゆくか。切実な叫び声が聞こえる熱涙の評伝」である。「あヽ おまえはなにをして来たのだと・・・・・ 吹き来る風が私に云ふ」(中原中也「帰郷」)

【コンテンツ】濫觴!中原中也~喪失、そして黙示の秘技/新説!中原中也~武芸人宮本武蔵への道/動乱!中原中也~魂の危機を救ったものは/発見!中原中也~青春のように悲しかった/哀傷!中原中也~芭蕉、蛙声の意味するもの/

2007年10月26日 (金)

Books 「学校のモンスタ-」

著者:諏訪哲二/発行:中公新書ラクレ/定価:760円+税/P.315

「彼らが増殖し 学校が壊れる!」 「個性の過剰な尊重、対学校のクレ-マーと化した親、「オレ様」化を許す自由なおとな社会の歪」

【コンテンツ】 学校から逃げ出す教師たち/おとなになろうとしない!/教師対生徒、学校対親の現場/さよなら「金八先生」/「自立」とは何であろうか/成長しなくなった若者をめぐって/「モンスタ-」たちに蹂躙される学校/ポストモダン空間のなかの子ども/「オレ様」を超えて/

 メディア等でも取り上げられ問題視されている「モンスタ-親」のことを「現代学校物語」として興味深く読んだ。学校に対するクレ-マ-が増加していることとビジネスの世界でのクレ-ム・苦情が日常化していることとは同根である。社会そのものの歪が発生させたものかもしれない。そのことこそが大きな問題である。

2007年10月23日 (火)

Books 「歴史ポケットスポ-ツ新聞サッカ-」

著者:近藤泰秀/発行:大空ポケット新書/定価:800円+税/P.205

「蹴球伝来からオシムジャパンまで」の日本のサッカ-の歴史を当時の写真と新聞記事風の構成で紹介した本である。小学生でも楽しく読めて、日本のサッカ-の歴史がわかる。

【コンテンツ】 蹴球の夜明け アジアから世界へ/戦後復興 メキシコ五輪への道/栄光と挫折 日本リ-グの挑戦/世界への扉 Jリ-グ開幕/次の百年へ 日韓W杯からのリスタ-ト/

 

2007年10月 5日 (金)

Books 「マイルス・デイヴィスとは誰か」

著者:小川隆夫、平野啓一郎/発行:平凡社新書(2007.09)/定価:780円+税/P.235

~「ジャズの帝王」を巡る21人~ 「マイルス・デイヴィスは常に新しいジャズを創造し同時に多くのミュ-ジシャンを育てた」

【コンテンツ】 チャ-リ-・パ-カ-/ソニ-・ロリンズ/ジョン・コルトレ-ン/ビル・エバンス/ハ-ビ-・ハンコック/ウエイン・ショ-タ-/ジミ-・ヘンドリックス/カルロス・サンタナ/ウイントン・マルサリス/ほか

 さまざまなジャズプレイヤ-がマイルス・バンドに入り育ち成長していった。マイルスの到達地点はすごく高く、晩年「ジャズの帝王」と呼ばれながらも、自分自身は最後まで飢餓感を抱き、更なる高みを目指していた。集まってくるものには細かく指示を出さずに、ヒントだけを与え考えさせる。混沌の中から創造性の芽を伸ばす。ジャンルは違ったとしても、「育てる」ということには共通項がある。

2007年9月30日 (日)

Books 「フランスサッカ-のプロフェショナル・コ-チング」

著者:ジェラ-ル・ウリエほか/発行:大修館書店(200.11)/定価: /P.333

「真のプロフェショナル・コ-チに必要な能力とは何か? 超一流をめざす、すべてのサッカ-指導者のために」

【コンテンツ】 現代コ-チに要求されること/コ-チの日々の仕事/特別な状況、困難な状況/モチベ-ションのコントロ-ル/人間関係のマネジメント/コ-チ:行動する人/

 2007.09 「Technical news」(日本サッカ-協会発行)Vol.21の「一語一会」にジェラ-ル・ウリエの言葉が掲載されましたので、当プログ「図書室」(2006.12.23)に掲載した書籍を再掲載します。右サイドバ-にも書籍イメ-ジを追加しました。

2007年9月29日 (土)

Books 「旅芸人のいた風景」

著者:沖浦和光/発行:文春新書(2007.08)/定価:750円+税/P.242

~遍歴・流浪・渡世~ 「道に生まれ、道に死す。・・・遊芸民、香具師、渡職人、行商人・・・。定住農耕社会からはみだし、よるべなき漂白の人生をおくった『道々の者』その失われた民俗」

【コンテンツ】 街道に生きる遊芸民/「物乞い、旅芸人、村に入るべからず」/ドサ回りの一座と役者村/香具師は縁日の花形だった/医薬業と呪術の世界/遊芸民を抑圧した明治新政府/

 表紙を見て、「旅芸人」という表題、「定めなき浮世 道に生き、道に死す」の一文にひきつけられ内容を確認もせずに、その本を買って読んだ。いろんなことを思い出させていただいた。この本を購入したことは、ただの偶然ではなく自分自身が幼い頃に出会った道々の者への不可思議な想い、愛惜がそうさせたのだろう。昭和30年代にあっても、行商人・薬売り・托鉢僧・虚無僧・巡礼等の人々が、私の住んでいた路地に出入りしていた。こども心に思ったことがある。「どこから来て、どこへ行くのだろう?」と。

より以前の記事一覧

最近の写真

  • Img
  • Img
  • Img_0001
  • Img
  • Img
  • Img
  • 生駒山ケーブルカー
  • 20091206_050
  • 20091206_044
  • 20091206_040
  • 20091206_038
  • 20091206_035