Books 「江戸の教育力」
著者:高橋 敏 発行:ちくま新書(2007.12.) 定価:680円+税 P.206
「一人前に育てる驚異のネットワ-ク」「江戸の庶民教育・地方文化を見直す」
【コンテンツ】 「教育の時代」としての江戸時代/江戸時代の文字文化/江戸時代の非文字文化/江戸の教育ネットワ-ク/庶民皆学の行方/
今で言う「学校」という存在がない江戸時代の教育と言えば「寺小屋」である。「読み書き算用」が基本にあり、それに加えて子どもたちが社会に出ても困らないような「一人前」になる「しつけ・礼儀」を身につけさせていた。地域において教育を担ったのは名望家の文人だった。寺小屋は町・村に関係なく全国に存在した。その時代の教育レベルを支えたネットワ-クだった。それと不可分の関係で、地域の中での「子ども組」「若者組」が子どもたちを「一人前」にするシステムとして存在した。
寺小屋師匠・柳澤文渓のことを初めて知った。彼は徳川幕府幕臣だったが聴覚を失い流浪の旅の果てに、ある村に留まり子どもたちに手習いを教えた。筆子(生徒)800名、門人(弟子)100名を有したという。聴覚を失いながらも教育に身を投じた師を慕い、門人たちが建立した「柳澤文渓先生の墓」が今もある。その碑の末文に「其の便概を叙し諸石に表して以て悠久に伝えんと云う」と書き記されてる。柳澤文渓のような寺小屋師匠の墓・碑が全国に無数にあると知った。
「江戸の教育力の源泉は地域の教育力にあった」と著者は言う。近代以降の教育は、「学校」という存在への囲い込みによりすべてを成し遂げようとしたが、それに連れて地域の教育力は転げ落ちるように衰退した。高度成長期以降は消失したと言っても過言ではない。「学力」偏重の中で、子どもたちを「一人前にする」という教育の根幹が忘れ去られたのが現実である。







































































































