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2007年12月22日 (土)

一陣の風のように

3年ほど前に全国高校駅伝大会を観戦するために京都へ出かけた。女子の第2中継所がある地下鉄・鞍馬口駅近くの路上で奈良県代表に声援を送った。各チ-ムを応援する人々で周囲は混雑していた。第2中継所近くの路上で、わが奈良県代表女子チ-ムの赤地に白抜きの学校名ののぼりが見えた。自然と足はその方向へと向いた。

そののぼりのそばにはご夫婦しかいなかった。母親がのぼりと小旗を持ち立っていた。父親は娘が駆けてくる方向へ三脚に乗せビデオをセットしていた。ご夫婦はわが娘が北から都大路を駆け抜けてくることを今か今かと待ち望んでいた。母親の携帯電話が鳴った。第1中継所にいる保護者からの電話なのだろう。「20位ぐらい」とそんな声が聞こえた。父親はビデオのファインダ-をのぞき、娘の晴れの舞台をおさめようと今一度、娘が駆けて来る方向にレンズを向け確認していた。

歓声が徐々に近づいてきた。トップランナ-がやってきた。すぐに幾人かの集団が通過した。「もうすぐ、来るよ!」と母親は父親の方を向きつぶやいた。その声を聞いて父親は緊張した面持ちでセットしていたビデオのファインダ-をのぞきこんだ。20位台の集団がやってきた。「来た!来た!」と母親は叫んだ。「がんばって! がんばって!」と涙ながらに声援を連呼した。父親と言えば、自分の前を通り過ぎる娘をビデオのファインダ-を通して見ながら、「負けるな!」と絞るような大きな声で娘の後姿に叫んでいた。一瞬だった。その女子走者は両親の方を振り向くこともなく、ただ前方の中継所で待つ走者を見ながら駆け抜けて行った。

両親の声はその女子走者に聞こえたのだろうか? その想いは届いたのだろうか? 駆け抜けていく女子走者と声援を送る両親の一瞬の情景に、親と子どもとの関係の凝縮されたあるべきものが映し出されていた。親は、子どもが駆け抜けていずこかへ行く姿に声援を贈る。事細かく手出し口出しはできない。ただ、「がんばれ!」「負けるな!」とつぶやき、あとは後姿を見届けるだけだ。その女子走者は両親の声援に振り向くこともなく一陣の風のように都大路を未来に向かって駆け抜けて行った。

全国高校駅伝大会前夜に 2007.12.22

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