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2007年3月17日 (土)

「ワルツ」~放浪修行~

2006.12.27朝日新聞朝刊「独・マイスタ-への登竜門~放浪修行 陰る伝統」という記事を、興味を持って読んだ。ドイツでは中世以来の徒弟制度の伝統を受け継ぎ手工業の技を次代に伝えるマイスタ-制度がある。マイスタ-(親方)でないと独立・開業が認められない。マイスタ-になるためには、工場・職業訓練学校などで3年間学び、「ワルツ」という放浪修行・工場・企業実務体験のどちらかを経て、マイスタ-試験に合格して、マイスタ-の資格を取得できる。

中世から続く手工業職人の修行者を「ワルツ」と呼ぶ。修業期間は「3年と1日」である。3年間徒歩かヒッチハイクで各地を放浪し、仕事現場に飛び込み親方(マイスタ-)の職人技を習得する。修行中の3年間は親の死亡時、大病などの他は故郷の半径50キロ以内に立ち入れない。「ワルツ」には決まりごとがある。服装は大きな帽子、黒づくめの服、ジャケットにズボン、ベスト姿、ジャケットに6個、ベストに8個のボタンがある。「週6日、18時間働く」ことを意味する。帽子は食事、睡眠、祈りなどの以外は着用する。持ち物は杖と布包みである。役場で手帳にスタンプをもらい、放浪先を証明してもらう。30歳以下の独身に限る。

ある若者の放浪メモが紙面に掲載されていた。「仕事がある時以外はほとんど公園か駅で寝泊りする」「洗濯は川や湖、公衆トイレで」「仕事にありつけないまま国境を越えた。零下15度、ヒッチハイクしようにも車がこない」「一文無し、野宿した公園で遠いかかりの英国人旅行者に朝食をごちそうになる」「ミュンヘンでサッカ-W杯開幕、はためく、ドイツ国旗の中を歩いて孤独感が癒された」。「ワルツ」に臨む若者たちは、ここ数年300400人だそうだ。年々減少しているという。職人をめざす若者たちも減り、マイスタ-制度も大きな変革と見直しの時期がドイツに訪れている。「ワルツ」という苦労を経て「マイスタ-資格」を取得しても職業とし維持できない現実がある。「時代遅れ」として伝統は消えていく。

「ワルツ」という名称は素敵な名である。資格を取得するための修行としては、確かに時代錯誤的な面があり衰退していくことに歯止めはできないだろう。しかし、「放浪の苦労は若者にとってかけがえのない宝、豊かな時代になって数が減るのは避けられないが、伝統はやすやすとなくならない」という職人組合幹部の強い言葉が印象的であった。

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