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2006年12月17日 (日)

牧水つれづれ草~日向・豊後・肥前~(1)

幾山河 越えさり行かば 寂しさの 終てなむ国ぞ 今日も旅行く  

 2001年2月11日(日)18時30分「おおさかエキスプレス号」に乗り込む。出港前に人知れず自己流のセレモリ-を行う。まずは、船室に素早く移動し、出港前に風呂と食事を済ませてしまう。今回も展望風呂は結果として一番乗りである。危うく二番手になるところである。脱衣場入口までは二番手、すばやく脱衣し風呂場へは一番乗り。第四コ-ナ-での大逆転!タイムアップ寸前の決勝ゴ-ル!笑みが自然と浮んでくる。子どもじみてつまらないことではある。湯船につかりながらほっと一息をつく。ほかほか気分でゆたかな気分になる。19時30分「おおさかエキスプレス号」は大阪南港を出港する。大阪湾を南下し紀淡海峡を経て太平洋に出る。室戸岬・足摺岬沖を航行し、日向灘を横切り宮崎港へと向かう。  

 フェリ-の二等船室は路地裏である。さまざまな人間模様が現れる。たまたま、「おおさかエキスプレス号」に乗り合わせた乗客たちには、人それぞれの思い、人それぞれの人生がある。フェリ-に乗ると、いつも、どこはとなく哀愁を感じる。言葉を換えれば「演歌」「青函連絡船」の世界である。古臭いと笑われるかもしれない。ただ、私の情念が引き寄せられてしまう好ましい情景でもある。フェリ-に乗るとゆったりした時間が流れる。船内でなすこともなく時を過ごす。ついつい酒を飲んでしまう。酔いながら過ぎ去りし日のことを思い浮かべる。酔い覚ましにデッキに出る。寒風が頬を刺す。遠くに陸地の灯りが見える。朧月夜、星は見えない。酔いどれ船は室戸岬沖、漆黒の海を航行している。

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