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2006年12月17日 (日)

良 寛 (1758~1831)

夢の世に かつまどろみて 夢をまた 語るも夢も それがまにまに 〈良寛)

 貞心尼(三十歳)が、良寛(七十歳)に贈ったおりの返歌である。「しょせん、この世は夢幻の世界です。夢を語り、夢を見ているに過ぎません。あなたはこの出会いを覚めやらぬ夢のようだという。夢でない出会いなど、どこにありましょうか。私たちの出会いが、夢の中で夢を見ているのだとしてもそれで良いではありませんか。」

越後の厳しい冬、荒涼とした風景に耐えたのち、生命の息吹が春のそよ風とともにやってきた時、村の子供たちと日が暮れるのを忘れて、一日中、戯れ遊ぶ良寛の姿がある。すみれ、たんぽぽが咲き乱れるようになると、子どもたちは自然と良寛のまわりに集まってきたそうだ。子供たちに好かれた良寛。貞心尼に想われた良寛。純粋無垢な心が良寛という人間の中に宿っていたのだろう。かつて、村人たちは如何なる想いと言葉で良寛に接したかは知る由もない。ただ、良寛没後百五十年近くなった今も禅僧良寛は人々の心の中に生き続けている。

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